2021年11月 かえる池3 貯水工作 |
粘土を貼り付けていく 2021.11.3. |
穴ができれば、次は水が漏らないような工作である。 連れ合いが陶芸で粘土を扱っているので、そんな粘土を大量に池の底に貼ればいいだろうと思っていたところ、もっとコストパフォーマンスの良いものがあることが判った。ベントナイトという粘土だ。 ベントナイトはモンモリロナイトという粘土鉱物が主成分の粘土で、膨潤性の性質を持つ粘土の総称としてこの名前が使われる、とある。膨潤性とは水分を吸収して膨張する性質である。水を吸って体積が増えるというのであれば、不透水層を作るのにピッタリだ。大学の授業で粘土鉱物の話も聞いたはずなのだが、岩石を作っている鉱物が変質して粘土鉱物に変わってしまう、というくらいの認識でしかなく、実はモンモリロナイトという名前は知っていても、それがどんなものであるのか、物と名前が重ならなかった。 そのベントナイトは思わぬところで使われていた。猫のトイレの砂だ。吸収性がよく、大量の水を含有することができるベントナイトは猫のトイレの猫砂≠ニして商品化され、ホームセンターでも売られていた。 …などと、防水対策を考えているうちに、雨が来た。何もしていないので水が溜まることはないだろうと高をくくっていたら、予想以上に雨水がたまってしまった。雑木林の表面近くはフカフカなのだが、30cmよりも深くなったような場所は意外なほど土が締まっていて、すぐに水は浸透していかないのである。もちろん、日に日に水位は下がっていくのだが、雨上がりにできたあちこちの水たまりが消えても、しばらくの間、池の底の雨水は消えることはなかった。 底にたまった水を汲出し、すこし乾いてきたところで工事再開。ベントナイトの能力を信じないわけではないのだが、とりあえず池の底にはふつうの粘土を薄く敷きつめていく。セーフティーガードだ。 そして、掘り出した黒土とベントナイトを混ぜ合わせたものに水を加え、よく練り合わせて緩い粘土状になったものをその上に張り付ける。黒土3に対してベントナイト1くらいの割合で混ぜ合わせているつもりだが、もちろん目見当であるのは言うまでもない。モルタルを練るのに使うトロ舟≠ニ呼ばれるプラスチックでできた頑丈な箱がいっぱいになるくらいの量を用意して、そこからバケツに取り分けて水を入れて練る… の繰り返しなのだが、粘土の材料はたくさんあるように見えても、いざ水を入れてコネコネと練ってみるとずいぶんと少ない量になってしまう。おまけに、混ぜ合わせる黒土の中には軽石やら植物の根や葉などが混入しているので、最初に粗目のフルイを使ってそんなものを除去するという工程が入ってくる。この混ぜ合わせる黒土を作る時間がバカにならないくらいかかるのである。防水工事には想像をはるかに超えるくらいの時間が必要になった。
粘土を貼り始めたのは10月30日。 落葉の季節となって、池の中にもたくさんの落葉がたまるようになった。粘土を貼りつけるにはまずこれを片づけなければならない。 安定した秋から冬の季節とはいえ、雨も降った。中途半端にされた防水工事でも水は溜まる。それもベントナイトが溶けだしてコーヒー牛乳のように濁った水で、いつまでたっても透き通った水にはならない。そして、工事をするにはこの水も汲出さなければならなかった。 氷も張るようになった。霜柱も立つようになった。凍るような水で粘土を練って地面に塗り固めていく作業には到底向いていない季節となっていた。 それでも、やっていれば終わりはやってくる。12月10日。壁面まで粘土を固めきり、すっかり葉の落ちきった雑木林の林床に小さな防水された凹地ができあがったのだ。池の中央には相変わらずコーヒー牛乳のような水が溜まったままになっていた。
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