2021年10月
かえる池2 
穴掘り


雑木林に掘った穴    2021.10.27.


 池を作る場所の候補地は以前から考えていた。
 敷地の中に沢でも流れていればそこから水を引けばいいのだが、そんな都合のよいものはないので、雨水をためるしかない。大雨が降ったとき、その雨水の流路を見ていくと適している場所は自ずと見えてくる。踏み固められた道に沿って流れる雨水は当たり前だが、低くなっていそうな場所へ導かれていくのである。そこから、自由に掘れる雑木林の中へ水を導き入れる計画だ。
 だが、当然ながら水はけの良い雑木林では、水は溜まることなく地下へ浸透していく。何らかの方法で水が地下へ浸透しないようにしなければならない。
 穴を掘ってそこへ防水シートを置いて水を溜める方法、既製品のヒョウタン池を埋め込む方法、あるいはコンクリートを作るときに使うトロ船を埋め込む方法、モルタルで作る方法… Web上には池を作った人達の試行錯誤がいろいろあるが、なるべくなら自然に近い方法がいい。
 田んぼの水を止めるのは粘土質の土だ。自然界にある止水は水を通さない岩石や粘土質の土によって、地下に浸透することが防がれている。それでは、穴を掘ってその周りを粘土で固めてみたらどうだろう。

 10月17日、いよいよ工事着工。池となるあたりを草刈機で刈り取ってから、スコップを入れてみる。雑木林の林床の表面近くはどこまでが腐葉土で、どこから土壌になるのかよくわからないくらいスカスカの地面だ。そして、さらに少し掘り進めれば、有機物の混じった真っ黒な黒色土となる。10cmも掘るとやや硬くしまった土で、ところどころに硬い軽石が混じっている。そして、深さ30cmを越えるあたりで直径5〜10mmくらいの硬い軽石の層が出てきた。これはおそらくAs-B≠ニ呼ばれる平安時代に浅間山から噴出した降下軽石だろう。榛名山西麓で穴を掘ると黒色土の中にこんな軽石が層を成している部分が出てくるのだ。
 なんとなくこんなものかな、と思ったあたりで一休み。雑木林に穴を掘るという行為は、雑木林を壊しているという罪悪感が伴う。林床にあって来年もそこに芽生えてくるはずだった植物の居場所を奪い取っていることに他ならないから、なかなか思い切って広い範囲を掘り返すことができない。
 ずいぶんと掘ったつもりだったが、少し離れたところから見てみると、小さい水たまりにしかならないことがわかった。そして、深さも足りない。後で池の底や側面に粘土の層を作るのだから掘った分が池になるわけではなく、粘土の厚さ分が浅く、そして狭くなる。厚さ10cmとまではいかないまでも、せめて5cm以上の粘土の層を作りたい。
 手加減しながら少し掘っては眺め、あーでもない、こーでもないと完成形を想像しながらさらにちょっとずつ掘り進んでいく。傍から見ている人がいたら、まったく進んでいないように見えたことだろう。
 こんなもので…、とその日の最後に思って見ても、日を改めて眺めてみると、やはりもの足らず、もう少し… と、穴掘り作業はいつになっても終了にたどり着けない。
 結局、作業日数6日をかけて、雑木林に小さな穴ができたのは掘り始めてから10日後のこととなってしまった。ずいぶんと長い時間がかかったように見えてしまうが、日によってはバケツ1杯ほどの土を掘ったくらいの日も含めてのことだから、何も考えなければ1日で十分に掘り終わる大きさである。
 
 

 


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