2021年10月
かえる池 
池を作ろう!


かえる池 予定地     2021.10.17.


 すぐ近くに住むIさんが田んぼを作るのをやめてしまってから3年の時間が過ぎた。
 田んぼは榛名山麓の緩やかな谷にあったものだが、初夏になって水が入ると、すぐにカエル達の賑やかな合唱が聞こえてきたものだ。そして、ほどなくしてカエルやオタマジャクシを食べにやって来るアオサギたちも現れる。水の入った田んぼはたくさんの生物で賑わう自然豊かな水辺だった。
 カエル達は水がなければ生きて行けない。ヒキガエルたちは水からずいぶんと離れた場所で見かけることもよくあるが、それでも、卵は水中に産む。エラ呼吸をするオタマジャクシが生きられるのは水の中だけだ。自宅の周りの雑木林の中で見かけるアマガエルやシュレーゲルアオガエルやアカガエルは、おそらくその田んぼからやって来たに違いない。
 今年も林の中からアマガエルの鳴き声は聞こえてきた。シュレーゲルアオガエルも一度アジサイの葉の上で見た。ヤマアカガエルらしいのも一度だけ見た。しかし、こんなに少なかっただろうか。気のせいなのか?
 しかし、カエル達はいったいどれくらい生きられるのだろうか。
 東京都立大学の草野保さんらは、カエルの指骨の断面に見られる年輪をもとに年齢を推定している。それによれば、野生下での寿命は、アマガエル4年、シュレーゲルアオガエル3年、ヤマアカガエル4年。アズマヒキガエルは長寿?で8年くらいは生きるというが、ほとんどのカエルは3〜4年で一生を終えるようだ。今いるアマガエルたちはIさんの田んぼで育った最後のカエル達なのかもしれない…。
 
 水辺を作りたい。
 
 近くに小さな沢は流れているが、Iさんの田んぼが無くなった今、池や沼のような止水は家の周りにすっかり無くなってしまった。
 田んぼが無くなって3年という時間は、そろそろカエル達にとって、命を繋ぐ場所が消えるという重大な局面になろうとしているのではないか?
 人類にとっての地球温暖化よりも、カエル達にははるかに緊急を要する問題だ。
 かくして、カエルに頼まれたわけでもないのに、カエルお助け池のプロジェクトは始まった。
 …カエルが来ると、ヘビが集まって来る
 …ボウフラの巣窟になる
 …イノシシのヌタ場になる
 ……
 いろいろな人が、いろいろな事を言う。が、たいていはあまり良いことは言わない。池などというものは、作るのも、管理するのも大変な上に、ロクなことがないと考えている人の方が多いらしい。それでも、きっと水辺は生物相を豊かにしてくれるはずだ…。

 


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