2025年3月 クリ食いのアカゲラ |
![]() 枯れ木とフジ蔓の間にクリの実を挟んで突っつくアカゲラ |
最近、家の裏の雑木林でアカゲラの姿をよく見かける。 といっても、それまでそこにアカゲラがいなかったわけではなく、こちらの注意がそこへ行っていなかっただけのことで、たぶんアカゲラはどこからかやってきたわけではなく、同じようにずっとそこにいたのだろうけれど。 アカゲラがいると、その声や木の幹を突く音などですぐにその存在がわかるものだ。まして、葉の落ちた冬になると、その姿を見つけるのも難易度が格段に下がる。音のする方を注意深く、あきらめずにじーっと見ていると、そのうちに動く姿が確認できたりする。 近くの雑木林でアカゲラの姿を見つけたのもそんなふうにして目の中に飛び込んできたものだった。 アカゲラがエサを探しているときには、木の幹や枝を歩きながらコツコツとクチバシで叩いて探りながらすばやく移動していく。こんなときは見つけやすいが、いざ写真に撮ろうとすると、すぐに写野の中から飛び出し、なかなかフレームには納まってくれない。撮影チャンスはエサを見つけて、それをクチバシを使って掘り出しているようなときだ。そんなときは同じ場所にとどまって、シャッターチャンスを与えてくれるのである。 見つけたアカゲラは実にモデルのような個体だった。スタイルが良いとか、顔が良いとか、そういうわけではない。長い時間、同じ場所にとどまってカメラのファインダーの中に納まり続けてくれるのだ。 最初、木の幹を突いて、木の中にいる何かの幼虫でも採っているのかと思っていた。ところが、どうも彼(彼女?)のターゲットは木の中ではなく、木の表面にある何かであるらしかった。 ものすごい勢いで、茶色っぽいものをクチバシで突いている。 見ていると、突いた拍子にそれがときどき動き、アカゲラは慌ててその茶色っぽいものの位置を直したりしている。 どうもクリの実のようだ。 おそらく、秋に落ちたクリの実を林床で見つけて、それを突いているのだろう。この雑木林にはクリの木が何本もあって、アカゲラのいる木もまさにクリの木だった。 それにしても、アカゲラにとってクリの実は少々てこずる相手だったようで、クチバシが当たってもなかなか穴が開かず、何度か落としそうになりながら、しばらくの間苦戦していた。 ところで、勉強不足なのだが、アカゲラをはじめとしてキツツキの仲間といえば木の幹を突いて、そこにいる昆虫などを食う肉食系の鳥だとばかり思っていた。そしてキツツキの仲間を見かけるのは、ほとんどそのような場面なので、それを疑うようなこともなかった。ところが、実は肉食専門というわけでもなかったわけである。 熱心な自然観察者である高崎市のTさんが興味深い記事を教えてくれた。 NPO法人・バードリサーチの「Bird Research News Vol.6 No.5」によると、高緯度のアカゲラほど冬季には針葉樹の種子などの植物性の食物に依存する割合が高くなるという。フィンランドやロシアでは100%が植物食になるという場所もあるというから、このあたりの人たちは「アカゲラが肉食である」という思い違いはしないことだろう。 もっとも、“植物食”とはいえ、草や葉を食うわけではなく、種子や木の実などが対象なのだろうから、そんなに効率が悪いわけではないはずだ。葉は大部分が哺乳類や鳥類が分解できないセルロースでできていて、これをエネルギー源として利用するには腸内細菌の助けを借りなければならない。これでは手間がかかる上、たくさん食べなければならならないので大変だが、木の実や果実には即利用可能なエネルギー源がたくさん詰まっているから、肉を食べるのと大差ないことだろう。クマの大きな体を支えているエネルギー源はドングリであったりするらしいから、とても効率的な食べ物といえそうだ。 アカゲラがクリの実を食べているのを見かけたのは一度だけではなかった。 林床でクリの実を探している姿を見かけたこともある。落ち葉の中から探し出したクリの実を咥えて、木の上で突っつくというシーンも何度か見かけた。確たる証拠はないのだが、複数のアカゲラがいて、代わりばんこにクリを食いにやってきているというわけではなく、1羽のアカゲラがクリ林をエサ場として、よくクリを拾いに来ているような気がしている。 最初見たときには、クリの実に苦戦していたが、数日後に見たときには、クリの実を木の割れ目に挟むなどして、固定して突つくという技も学習したように見えたのは物語の作りすぎだろうか。 寒い冬場、日本のキツツキたちも、フィンランドやロシアのようにみんな植物食へシフトしているのかもしれない。 |
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アカゲラ クリに苦戦す! アカゲラ クリを食す |
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