2023年4月
かえる池 2年目の春


秋になってやってきたアカガエル  2022.10.11.


 榛名山麓の自宅周辺のカエルを誘致しようと、雑木林に小さな池を作ったのは2021年の秋から冬にかけてのことだった。
 ペットのトイレ用の砂として売られているベントナイトを林の土に混ぜて水が漏らないようにしてできた小さな池。その水源は雨水のみで、冬こそ凍りついてしまったが、それでも四季を通して水が涸れることはなかった。
 2022年の春のころはまだなかなか風景になじんでいなくて、いかにも人工的な水たまりという姿だったが、それでもすぐにアメンボが水面に集うようになり、季節が進むにつれて、周囲を草が埋め、次第に自然にとけこむような姿に変わってきた。
 夏にはエゾトンボの仲間をはじめとして数種類のトンボがやってきて、産卵しているのもいた。鳥たちも水辺にやってきた。キツネも水を飲みに来ている様子が無人カメラにとらえられている。謎の動物の足跡が残されていたこともある。そして、夏が終わるころには、ついにカエルの姿が池の中に確認できた。半年以上かかって、やっとカエルたちに池の存在が認識されたらしい。
 カエルはアカガエルだった。
 もちろん、繁殖期ではない季節に現れたカエルは産卵することもなく、ただそこにいるだけとしか見えなかったのではあるが…。

 3月。凍りついていた池の水も春の姿に変わった。表面が氷から水面に変わると、すぐにアメンボが現れた。彼らも越冬明けだろう。
 そして…
 春の雨が一日降り続いた4月15日。これで晴天続きでちょっと心もとなかった池の水もかなり満たされてきた。
 その夜のこと。降り続く雨の中を帰宅し、クルマから降りると、雨音に混じって高音のかわいい声が耳に入ってきたではないか。
 カエルの声 !!
 これは池から聞こえてくる声か?!
 心躍るような気持ちで家の中からライトをとってくると池へ向かった。ライトの光に照らしだされた水の中にはまさにカエルの姿。手足を広げた姿で、水にぽっかりと浮かんでいる。そして、そのすぐ近くにはおんぶした状態のペアのカエルたちもいた。やはりアカガエルだった。すると、単独で水面に浮かんでいたカエルがおんぶ状態のペアのカエルに向かっていく…。これは…、3匹のカエルによるミニカエル合戦!小規模とはいえ、間違いなく繁殖行動だ。
 池の完成からおよそ1年と3カ月。ついに、これで当初の目的だったカエル誘致≠ノ成功したしたといえよう。
 カスミザクラの花びらが水面に浮かんだ池の中にひと塊の卵塊が沈んでいるのを見つけたのはその4日後のことだった。

 
   
水面下にあるカエルの卵塊 (サクラの幹の影の中)
     2023.4.19.
 






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