2015年10月
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ヤナギの葉を舐めるキイロスズメバチ 2015.10.27. 榛名山西麓 |
登り窯の脇のアカメヤナギの周囲ではよくキイロスズメバチを見かけるな…、と以前から何となく思っていた。連れ合いも10月中旬に素焼きのための窯詰めをしているとき、スズメバチに気がついたようだ。 気をつけて見ていると、昼間の間、アカメヤナギの周囲では常に数頭のキイロスズメバチが飛んでいる。秋になると、アザミの花の周囲で同じようにキイロスズメバチが飛んでいる姿を見ることがよくあるが、おそらくそれはアザミの花を目当てにやってくるハナアブたちを狩りするスズメバチたちだ。 しかし、この季節、アカメヤナギに花はない。アカメヤナギの花は早春、まだ雑木林の木々に葉が無い季節に、他の植物に先駆けて花を咲かせる。あまりに早い開花期のため、ときとして花は雪化粧となることもある。そんな季節にはニホンミツバチたちが群れをなしてやってくるものだ。 これほどたくさんのキイロスズメバチが飛び交っているということは近くに巣があるのだろう…、と当たり前のように考えた。 キイロスズメバチの巣は軒下のような高い場所に作られることが多い。コガタスズメバチなどはツバキなどの枝の混み合った木の中に巣をつくることがよくあるけれど、キイロスズメバチの巣を見かけるのは、屋根で守られたようなところであることが多い。巣はときとして、驚くような大きさになっていることもよくある。この近くでも、Tさんの製材所の軒下にはいくつもの大きな巣がぶら下がってるし、近くの廃屋でも軒下に大きな巣が朽ちかけているところがある。 スズメバチの巣は、働きバチの数が急速に増える秋になると、それに比例するように急速に大きくなっていくという。もしや、気がつかないうちに、どこかで大きな巣が出来ているのではないか…!? だが、探しても、登り窯の小屋にも、物置にも、母屋にもそんなものは見つからなかった。もちろん、アカメヤナギの木の周辺でも見つからない。彼らはどこからやってきているのか…? さらにアカメヤナギを観察していると、キイロスズメバチ以外の昆虫たちの姿も見えてきた。数は少ないけれど、クロスズメバチの姿もあった。ガガンボもいる。アブの仲間もちらほらと見つかる。 キイロスズメバチの爆音のような羽音に圧倒されて、なかなか近づいて見られなかったのだが、よくよく見れば、いろいろな昆虫たちがここに集っていることがわかってきた。 花が咲いているわけではないのに何が彼らを引き寄せるのか。 次に気がついたのは、アブラムシだった。アカメヤナギの枝にはビッシリとアブラムシがついていたのだ。アブラムシに注目してアカメヤナギの枝を次々と見て回ると、その枝という枝には、アブラムシにしては少し大きめの灰色をしたアブラムシがいた。中には翅をつけたようなのもいる。これは有翅型の個体だろうか。それまで気がつかなかったが、アカメヤナギ全体がアブラムシの巨大コロニーとなっていたのだ。 手元にあった、浅間茂・石井規雄・松本嘉幸共著「改訂 校庭のクモ・ダニ・アブラムシ」(全国農村教育協会)によれば、このアブラムシはヤナギコブオオアブラムシ (Tuberolachnus salignus)という種類である。背中に大きな黒いこぶのようなトゲを持った姿は特徴的で、間違いはないだろう。
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