スギのてっぺんでにらみをきかす 2006.1.8.
中野さんちのダチョウ
飛ぶ姿はとても優雅に見える 2006.1.8.
ダチョウの上の枝でじっとしている 2006.1.7.
2006.1.
ノ ス リ
雑木林の木々に葉が無くなると、鳥の姿が目立つようになった。
もちろん、それまでも鳥はいたのだが、葉の陰になってその姿はなかなか見ることができなかったのである。
なれなれしいのはシジュウカラ。人の姿を見て、逃げるどころか近寄ってくることもしばしばだ。そして、コゲラもたいして逃げもせず、コツコツと木の幹を叩いている。よく見ないとスズメと見間違うようなカシラダカは群れをなしてヤブの中で集会を開いていることが多い。そして、カケスも群れをなして広い範囲を我が物顔で飛び回っている。しかし、こいつはなかなか警戒心が強いようだ。
目立つようになったのは小鳥ばかりではない。このあたりの主、ノスリもその存在を際だたせてきた。
食物連鎖の頂点に立つ生物として生物の教科書などではよくワシやタカなどの猛禽類が例に挙げられるが、ここでよく見かける猛禽類にはノスリとトビ、そしてその姿を見たことはないのだが声だけはよく聞くフクロウがいる。しかし、トビは空高く円を描いて飛んでいる姿を見かけるくらいで、近くに止まっている姿は見たことがないから、“主”とまではいかないだろう。また、フクロウもノスリをよく見かけるようになってから近くで声を聞いたことがないから、ちょっと離れた所へ引っ越ししているのかもしれない。この季節、ここの生態系のトップに君臨しているのは、おそらく、ノスリなのだ。
この周辺で複数のノスリを一度に見たことはない。見かけるのは決まって1羽。それもだいたい留まっている場所も決まっている。見晴らしの良い枝、見晴らしのよい場所の電線、スギの大木のてっぺん… など。おそらく、ここを縄張りとしているのは1羽のノスリと考えてよいだろう。
小鳥たちが群れをなしてめまぐるしく飛び回っているというのに、このノスリはほとんど動こうとはしない。高いところから眺めているだけなのである。その姿には孤高の鳥といったイメージがある。
最近のお気に入りの場所は中野さんの飼っているダチョウの柵の近く。ダチョウを見下ろす高いコナラの枝か、電柱の上か、電線の上で見かけることが多い。どうも3羽いるダチョウの様子をじっと見下ろしているように見えてならない。
自分よりはるかに大きいダチョウの姿を見てライバルと思っているのか、ダチョウの飛べない羽根を出来そこないと思っているのか、あるいは柵に囲まれてそこから逃げられない運命を哀れと思っているのか…。
ダチョウの柵の上の電線に留まっていたノスリに近づくと、「ピィー」と鋭く一声鳴いて飛び去っていった。初めて聞くノスリの声だった。「もうこれ以上私に近づくな!」という警告の声だったのだろう。
孤高の鳥には飛び去った自由な青空がよく似合っていた。